クリニックから急性期へ転職し、副主任になった理学療法士が大切にする「傾聴から始まるリハビリ」

リハビリテーション科副主任 理学療法士Sさん
新卒でスポーツ整形外科のクリニックへ入職し、外来リハビリテーションを5年間担当。「急性期から回復期まで、一連の流れを見たい」と考え、2023年4月にえびえ記念病院へ中途入職。主に整形外科疾患の入院患者さんを担当し、2026年4月からはリハビリテーション科の副主任として現場のマネジメントにも携わる。
▼目次
1.クリニックから急性期への転職
2.外来リハとの一番大きな違い
3.患者さんがくれた言葉
4.意見が飛び交うリハビリテーション科
5.頼ってもらえる存在を目指して
「なぜ痛いのか」を考え続けた、クリニックでの5年間
理学療法士にはいろいろなジャンルがありますが、僕は最初からスポーツ整形外科に興味がありました。
新卒で入職したのは、個人のクリニックです。近くに大学があって、社会人でスポーツをされている方もよく来られると伺い、ここで働きたいと思ったのがきっかけでした。そこで5年間、外来リハビリテーションに携わらせていただきました。
外来では、慢性疾患の患者さんのほかに、股関節や膝関節を手術して通院されている患者さんも多くいらっしゃいます。自宅に退院された後の生活の質をどう上げていくか。そこを考えるリハビリが中心でした。
なぜ痛いのか。どうすれば痛みが減るのか。その機能面をひたすら考え続けた5年間だったと思います。今の病院での仕事とは考え方が違う部分もありますが、あのとき積み重ねたものは、間違いなく自分の強みになっています。
同じ手術なのに違う経過。その理由を知りたくて選んだ急性期の現場
手術された患者さんと多く関わらせてもらう中で、ずっと不思議に思っていたことがありました。
同じ手術を受けた患者さんなのに、術後の経過にこれだけ違いが出るのはなぜなのか。全然曲がらない方もいれば、全然伸びない方もいる。外来で診るのは、入院されてからある程度月日が経った段階の患者さんです。急性期、回復期、維持期という分け方でいえば、外来リハビリは長い月日をかけて進めていく維持期にあたります。その前の段階を、すごく知りたくなりました。
手術した日からリハビリテーションに介入できる急性期に一度勤めてみたい。そう考えて、転職を決めました。
転職活動では、いくつかの急性期病院の面接にも行かせていただきました。ただ、急性期は急性期だけ、その後の回復期のリハビリは違う病院に転院します、というところが多かった。もう少し長い目で患者さんを見たいと思っていたところ、急性期から回復期、維持期までの一連の流れを見られるえびえ記念病院と出会い、入職を希望しました。

期限から逆算する退院支援。外来リハとの一番大きな違い
入職して最初に大変だと感じたのは、入院期間が限られている中で、自宅に帰りたいという患者さんをその期間内に支援することでした。外来リハビリには、基本的に期限がありません。そこが一番大きな違いでした。
たとえば福祉用具。ご自宅に手すりをつけたいとなったとき、実際に設置されるまで1か月ほどかかることもあります。だから早め早めに動かないといけない。最悪の場合、退院して帰ってみたら壁に手すりがなくて階段も登れませんでした、ということが起こり得るのです。そうなってしまえば、それまで積み上げてきたリハビリが、水の泡になってしまいかねません。
退院後の生活を想像して、必要なものを選定し、ゴールを設定して、そこから逆算してリハビリを進めていく。予後予測も含めて、ここは今でも難しさを感じているところです。
右も左も分からない中途入職者への丁寧な指導
入職前に一番不安だったのは、病院で働くこと自体が初めてだったことです。クリニックしか経験していなかったので、本当に右も左も分からない状態でした。
中途採用だと、「5年の経験があるならできるだろう」と、いきなり任されることも多いと思います。分からないのに放り投げられて、「やり方はどうしたらいいんだろう」と迷う。そういうことが、えびえ記念病院ではほとんどありませんでした。
いろいろなことを丁寧に教えてくださる職場だったので、1〜2週間ほどで慣れることができました。入る前に抱いていた不安とはだいぶ違っていて、そこはすごく助かりました。

「君のおかげで、入院生活が楽しかった」患者さんがくれた言葉
これまでで一番印象に残っているのは、膝の手術をされた患者さんの言葉です。
その方は痛みにとても敏感な方で、術後の痛みもかなり強く出ていました。普段できていたことができなくなってしまい、入院生活が精神的に滅入ってしまったとお話しされていました。
最初は歩行器で歩くのもままならないほどでしたが、徐々に痛みが引いてきて、歩行器から杖に変わり、最終的には杖なしでご自宅まで20分ほど歩けるようになりました。ご自宅の近くに娘さんが住まれていて、リハビリのない日には一緒にスーパーへお昼を食べに行かれていると伺いました。運動機能面でもそこまで戻られたことが、すごく嬉しかったです。
そして退院の日、その方が言ってくださったのが、「君のおかげで入院生活を楽しく過ごせた」という言葉でした。
痛みがあって、自宅ではない環境で2週間、3週間も生活する。精神的にも辛かったけれど「楽しかった」と最後に言っていただけたことは、歩けるようになったこと以上に嬉しかったです。頑張らせてもらって良かったな、と思いました。
主導するのではなく、傾聴から始めるリハビリ
あの言葉をいただけた理由を振り返ると、話を聞くようにしていたからだと思います。
入院期間が限られている中では、「早く歩けるようにならないと」とセラピスト主導で進めてしまう場面もあります。ゴールから逆算して、「少しでも早く動き始めないと」という気持ちからくるものでもあると思います。
それでも、こちらからの主張ばかりにならないよう、患者さんの話も傾聴しながら進めることを意識していたと思います。痛みが強い日には「今日はベッドの上でできることをやっていきましょう」、痛みが落ち着いている日は「今日は頑張って少し歩いてみましょうか」と。僕なりに患者さんのペースに合わせながら工夫してやっていった結果が、最後のあの言葉につながったのかなと思っています。

副主任という、周りに目をかける役割
4月から、リハビリテーション科の副主任を務めています。
副主任になってからは、自分が担当している患者さん以外にも目を向けるようになりました。現場スタッフがどういう患者さんを担当しているのか、その患者さんの進行具合が遅れていないか、無事にご自宅へ帰れそうか。そうしたことを把握したり、現場が円滑に動けるようにスケジュールを管理したりしています。
後輩の指導で心がけているのは、まずその人の考えを聞くことです。
人それぞれに考えがあると思います。上から言われると、その言葉に「はい」と従うだけになってしまう日も多いと思います。だからまずは相手発信で、どういうふうに思っているのかを第一に考えて、声をかけるようにしています。そのうえで、修正したほうがいいところは「こうしたほうがいいんじゃないかな」とアドバイスをする。意見を交換しながら、協力して患者さんを担当させていただく、という形です。
楽しく働けるのが一番だと思っています。その中でも自分の考えを持つことは、今後大事になってくると思うので、患者さんとの関わり方と同じように、押し付けるのではなく、主体的に取り組んでもらえるようにと考えています。
経歴に関係なく、意見が飛び交うリハビリテーション科
えびえ記念病院らしいなと感じるのは、みんながディスカッションをしているところです。
ここは中途採用のスタッフが多く、それぞれのやり方を持ってこられた方もいらっしゃいます。その中で、経歴の長い方が後輩に教えることもあれば、逆に後輩から「こうだと思っているんですけど」と意見が出てくることもある。リハビリテーション科のいいところだと思っています。
雰囲気としては、オン・オフがはっきりしている職場です。頻繁に集まるというよりは、新しく入職された方の歓迎会など、イベントごとで食事に行くくらい。そのうえで、相談したいときには相談しやすい環境があると感じています。比較的残業が少ないので、家庭や子育てと両立しやすいところも、働きやすさにつながっていると思います。
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訪問リハビリが届けてくれる、退院後の「答え合わせ」
2026年4月から、えびえ記念病院で訪問リハビリが始まりました。
直近でも、僕が担当させてもらっていた患者さんがご自宅に帰られ、訪問リハビリのスタッフにバトンタッチしました。階段と、家の中を伝い歩きで移動しなければいけない患者さんでした。転倒されるといけないので、階段は入念に、しっかり練習していました。
その後、訪問リハビリのスタッフから動画付きで「階段はすごくきれいにできていたよ」とフィードバックをしてもらいました。一方で、少しおろそかにしていた伝い歩きについては、「手術した足の踏ん張りがまだ効いていないから、そこをもう少ししっかりやっておけば生活の質は上がっていたかもしれないね」という話をいただきました。
自分がやってきたところはうまくいっていたけれど、おろそかにした部分はやはり結果に出る。動画で実際の様子まで見せてもらえるので、退院後の生活をもう一度考え直すいいきっかけになりました。

患者さんにも、スタッフにも頼ってもらえる存在に
理学療法士になったときから、患者さんにもご家族にも信頼されるセラピストになりたいと考えてきました。その気持ちは、これからも忘れずにいたいと思っています。信頼していただくためには、どういう働き方、どういう動き方をすればいいのか。そこを考えながら、努めていきたいです。
そして副主任にならせていただいたからには、現場スタッフにとっても、何かあったときに「頼りたい」と思ってもらえる存在になりたい。そのためにどうしていけばいいかを考えながら、ゆっくり努めていけたらと思っています。
クリニックから転職してきて右も左も分からなかった僕にも、えびえ記念病院は丁寧に教えてくれる環境でした。不安はすぐになくなったので、中途で入職を考えている方には安心して来ていただきたいです。
(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)
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えびえ記念病院のリハビリテーション科では、一般病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟に加え、外来リハビリ・訪問リハビリまで、幅広い病期を経験できます。急性期から回復期、そして退院後の生活まで、一連の流れに関われる環境です。中途入職の方へのサポート体制も整えていますので、第二新卒・中途の方も、新卒の方も、ぜひ職場見学・採用情報についてお気軽にお問い合わせください!
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